リンヴォック®の治療について | 概要
消化管が炎症を起こすメカニズム
~リンヴォック®の作用を理解するために~
炎症を引き起こす物質が過剰に作られることでつらい症状が慢性的に起こります
クローン病の患者さんの消化管では、炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が⼤量に産⽣されています。炎症性サイトカインの刺激により消化管の粘膜が傷つくことで、腹痛や下痢などの症状が引き起こされます。
また、炎症性サイトカインが免疫をつかさどる細胞(免疫細胞)の表面にある「受容体」に結合すると、細胞の中に信号が伝えられ、さらに多くの炎症性サイトカインが作られるようになります。このくり返しにより、炎症は慢性化していきます。
リンヴォック®の作用
炎症性サイトカインが過剰に作られることを防ぐお薬です
リンヴォック®は、免疫細胞の中のヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素(タンパク質の1つ)に結合するお薬です。
JAKは、炎症性サイトカインが受容体と結合したあと、サイトカインを作り出すなどの信号を細胞内に伝えるために重要な働きをします。
リンヴォック®がJAKと結合することで、この信号を伝える仕組みを妨げ、炎症性サイトカインの過剰な産生がおさえられます。
治療を開始する前に
リンヴォック®の治療を開始する前に確認しておくことがあります
リンヴォック®は、中等症~重症の活動期クローン病の症状を改善して、寛解を導入するために、また再燃をおさえて寛解を維持するために使用される「JAK阻害剤」と呼ばれるタイプの飲み薬です。重大な副作用などを防ぐために、治療を開始する前に以下についてあらかじめ確認します。
治療を開始するにあたって必要な検査
リンヴォック®による副作用の発現を予防するために、治療開始前に、問診・診察に加えて下記の検査をおこなう必要があります
血液検査
B型肝炎ウイルスや結核菌に感染していると、リンヴォック®の服用によってB型肝炎ウイルスの再活性化や、結核の発症を引き起こすことがあります。これを防ぐために、採血をしてB型肝炎ウイルスや結核菌に感染していないかを調べます。
画像検査
胸部レントゲンやCTによって、結核を発症していないかを調べます。
リンヴォック®の治療を適切に続けるために、治療開始後も定期的に検査を受けるようにしましょう。